後に引けないGM

GM(ゼネラル・モーターズ)は11/21、SUVを生産するオクラホマ工場、ミニバンを生産するジョージア工場、エンジン生産のフリント工場などの主要生産工場9ヶ所・部品加工サービス拠点3ヶ所を2006年から順次閉鎖していき2008年までに完全に閉鎖するなど、大規模なリストラ計画を発表し、当初2万5000人を予定していた時間給労働者の削減幅も3万人に積み増すなど、もはや後には引けないGMの苦しさが伺える。
GMは8月に終了した新車価格大幅値下げのキャンペーンを再開してるけど(1万ドルもの値引き等)、それでも相対的な新車販売台数の低下は防ぎきれていないのが現状で、11月前半の新車販売シェアではフォードを抜き第2位になったトヨタに1ポイントまでせまられている(トヨタ17.9%、GM18.8%)。米国市場全体の新車販売台数は前回より15%下げたのに対しGMは24%下がっており(トヨタは1%減にとどまっている)、GMへの風当たりはますます強くなると思う。
このような状況下でのリストラ策は当然かもしれないけど、10月半ばにchapter11申請をした元GM子会社である自動車部品最大手デルファイの現状を鑑みてみると、今回発表されたリストラ計画がうまく進む可能性はかなり低いと思う。デルファイも連邦破産法下で経営再建中だけど、従業員削減・賃金値下げ・ペンションプラン・保険などの基本となる再建政策についてデルファイ労働組合UAW(United Automobile Workers)と全面対決状態になっていて、デトロイト・フリープレス紙によると近日大規模なストライキが実施される可能性が高いとされている。こんな前例をリアルタイムで見せ付けられて、果たしてGMのリストラ計画は上手くいくのだろうかと考えさせられてしまう。
これまで米国産業を牛耳ってきたUAWがとてもとてもとても(←くどいw)大きな障害になるのは必至だけど、この米国自動車業界の危機的状況からすればUAWもそれなりの妥協をせざるを得ないと思う。UAWにとっても、企業に対してさんざん高慢な姿勢をしてきたり現在の状況・時代にそぐわない待遇を執拗に要求してきた悪しき慣行を見直すいい機会ではないだろうか・・・と言ってもなかなか難しいだろうなぁ。米国政界にも強力な影響力を持つUAWだから、GMやデルファイに妥協するよりも前に、絶好調な日本車勢への生産・販売・輸入などへの規制がかかりそうな予感。
←大規模なリストラ計画を発表するGMのCEOリチャード・ワゴナー氏=11/21デロイトにて。超ガンガレ(・∀・)